8年前の寄せ植えを少しづつ改作しながら今の姿となりました。
この「鉢植え」は、植え戻しが必要な「梅」をあえて入れずに、寄せて作っています。
何故なら「梅」は、お正月に合わせて花が咲くように専門家が一年がかりで管理するため高値であるし、そのまま(植え戻しも含め)持ち込んでも作上りが望めません。
父曰く、「黄金バランス」に育ったとのことで、「盆栽」に限らず「生け花」でも同じだと思いますが、「不等辺三角形」を基本形として、それぞれの木がバランスよく育ち、絶妙な配置となってこの姿となりました。
また、「盆栽」の良し悪しは、詰め込むだけでなく「小宇宙をイメージ」できるような空間を重要視するそうで、「空間の美」というものが愛培家たちの美意識をくすぐるのかもしれません。
鉢は、当店の講習会でもおなじみとなった「魔法の鉢」で、それぞれの植物の根がいっぱいになり、鉢を割って根や芽を出している 状態です!
この割れた状態は、決してネガティブなことではありません!!
鉢が割れるということは、寄せる時から織り込み済み☆それだけ根の発育状態がよい証拠なのです!!!
華道の「未生流」を母が習っていたこともあり、父も「未生流」の美の基本形を盆栽でも活かしています。
「奇数」の素材を「不等辺三角形」を意識して配置するよう作っていくそうで、素材選びから目利きを必要とします。
写真に書き込まれた「対」「用」「留」は華道の流派によっていろいろ言い方は違うそうですが、超簡単にその「長短の比例」の説明をします。
「対」が 1 に対し
「用」は、「対」の長さの約 2/3
「留」は、「用」の長さの約 2/3
正面から見た時も、上から見た時にも「不等辺三角形」を長さや角度、いろんな方向からみて意識し作っていきます。
このように文章にしてしまえば、簡単なように思いますが、「寄せ植え」は木と木の相性・高低バランス・色合い・・・等々も考慮し、それぞれの素材を生かして作ります。
「盆栽」は、作った時が最高ではなく、何年か先を見込んで植え込んでいく必要あるので、ゆっくり時間をかけて楽しんでください。
次は「魔法の鉢」の説明です。
「魔法の鉢」とは、材料である「新聞紙」「セメント」「染料」の3つをしっかり混ぜ合わせ、乾燥させるだけで作れます!
① 作る前の準備として、細かくちぎった「新聞紙」を最低でも1週間(1ケ月くらい放置しておいてもOKです。ただちょっと匂います)、水をたっぷり含ませ「セメント」と混ざり易くなるまでさらにちぎります。
(当店では、大量に作るので「新聞紙」をシュレッダーを使って小さくしています)
② ①の「新聞紙」と同容量の「セメント」と、「染料」を混ぜて、しっかり捏ね混ぜます。(「染料」は、当店では主に「黒煙」と「ベンガラ」を使用し、色加減は作る人のお好みで作っています)
この2つの「染料」は、「塗料の専門店」で入手できます。
「黒煙」とは、松脂を燃やして出たすすで、書道などで使用される「練り墨」の原料です。
「ベンガラ」は、酸化第二鉄の赤い粉末(顔料)で、木材の腐食防止や防虫対策にも大きな役割を果たしており、昔から日本建築に使われています。最近では「宇治平等院鳳凰堂」の平成の修理の際に使われていたようです。身近でも古い神社仏閣や古民家の梁などの塗装に使用されています。
主な材料が「新聞紙」なので、吸湿性が高く、植物の根を温めるという利点がありますが、その分、鉢植えは水やりが欠かせないため、鉢自体の寿命は2年から3年くらいの消耗品なのです。セメントの量を増やせば、寿命も長くなりますが発育状況に影響があるかもしれません。
「魔法の鉢」はコツさえつかめば、いろんな形の鉢づくりを楽しむこともできるので、多くの園芸好きの方々が思い思いの方法で作っています。
当店での講習会でも、個性あふれる鉢づくりをされる方もたくさんいらして、時に染料の「ベンガラ」で外側を真っ赤に色付けした鉢(凄くいい仕上がりで画像を探したのですが、見つけられませんでした。また、出てきましたらupします)やボックス型の鉢など思い思いの鉢づくりを楽しんでいただいておりました。
↓ 当店盆栽クラブ会員様の作品 ↓
☆クリックで、画像拡大☆
「魔法の鉢」を作って、「寄せ植え」を楽しみませんか?